SPECIAL
特集
やまなし大樹種名鑑
杉 sugi
[主な製品] 平角(特一等)、羽柄材(特一等)、羽目板(特一等、無地上小節)、造作材(無地上小節)
【県内の分布】 南部と東部に多く、八ヶ岳山麓の北部地域にはほとんどない。降水量の多い地域に生育
美しい木目と色合い
やまなしには戦後植林されたスギが豊富にあります。建築用としては梁桁などの構造材に多く使われますが、木目と色合いの美しさから床板や壁・天井などの「あらわし材」としても用いられます。柔らかく加工が容易なことから、建具やさまざまな日用品(樽、桶、工芸品、割箸など)にも活用されてきました。浸透性が高く、防腐液を注入したスギは外壁材や庭などの外廻り空間にも利用されます。最近はスギの枕木もあります。
檜 hinoki
【主な製品】 正角(特一等)、羽柄材(特一等)、羽目板(特一等、無地上小節)、造作材(無地上小節)
【県内の分布】 全県下で多く見られる。北部地域は少ない。標高 1,600 m 付近までが限界
一般住宅でも人気
やまなしのヒノキは生き生きとした真っ赤な美しい生き節をもつのが特徴。誰からも好まれる独特の芳香を長期的に発します。樹脂成分を多く含むことから、耐久性や耐蟻性が高く、また狂いが少ないため土台や柱に多用されます。寺社仏閣や和風住宅での利用が多く高級材というイメージがありますが、最近は節ありのヒノキが一般住宅などでも広く使われ始めています。幼稚園、保育園などの床材としても利用され、小さな子供が素足で触れる材としても人気です。
赤松 akamatsu
【主な製品】 平角(特一等)、タイコ梁(特一等)
【県内の分布】 八ヶ岳山麓の北部地域、富士山麓を中心とした郡内地域。南部にはほとんどない。低地から標高 2,000 m付近まで広く分布
力強い梁桁に最適
「和風庭園といえばアカマツ」といわれるくらい、庭木によく使われる大変身近な樹種です。文字どおり、樹皮の赤みが特徴。丸太やタイコ梁の梁桁に最適で、昔から多くの甲州民家で使われてきました。化粧材や床板として使えば、年を経るごとに黒光りして味わいが醸し出されます。現在、建築用として利用されることは少なくなり、その多くは合板やチップ用として県外に搬出されています。カラマツ同様、富士山や八ヶ岳周辺に天然の美林があります。
唐松 karamatsu
【主な製品】 集成材(製品としての取扱いはなし)
【県内の分布】 アカマツとほぼ同様の分布。標高 1,000~ 2,500 m付近に群落する。標高が高いほど大径材が残っている
集成材に多用される
日本で唯一の落葉針葉樹。寒冷地の気候にも耐えられる、育ちが早い、管理が容易などの理由から、北海道や長野県を中心に、やまなしでも多く植林されてきました。天然の大径木のカラマツは「テンカラ(天然カラマツの略)」と呼ばれ、かつては造作材として重宝されましたが、現在は伐採量が極端に少なくなり、入手困難な希少材となっています。カラマツは製材としてはあまり使われませんが、集成材や LVL の原板としては、なくてはならない材といえます。
分布図:山梨県森林環境部林業振興課の資料を元に作成