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追 跡!やまなし県産材のゆくえ

やまなしは森林率全国 5 位の森林県だけに、至るところで県産材が有効活用されています―といいたいところですが、実態は少々違いまして ……。

以下の数字をごらんください。

人工林蓄積量 全国 32 位(3,930 万㎥)

素材生産量  全国 31 位(15 万㎥)

 

人工林の蓄積が少ないのは、そもそも県の面積が全国 32 位の広さなのですから、森林県といえども仕方がありません。しかし、素材生産量の低さはどうにかならないでしょうか ……。頑張り次第で改善の余地があるだけに、残念でなりません。関東甲信越の近県では、長野県(14 位)、静岡県(22 位)、群馬県(25 位)、茨城県(18 位)、栃木県(12 位)が、蓄積された人工林をやまなし以上に活用しているのがよく分かります。なぜ、やまなし県産材は有効に活用されていないのでしょうか。

建築用途を増やしたい

丸太全体の約 2 割しか「製材用」として出荷されていない、やまなし県産材。出荷後、どのような現場で活用されているか調べたのが DATA-3 のグラフです。建築用の木材として使われているのは約 6 割。全体の 3 分の 1 は土木用でした。丸太全体の約 2 割しか製材用に回されず、そのうちの約 6 割しか建築用に使われていない……。しかも、半数以上は県外に販売されていますから、全体として見れば 5%程度しか県内の建築用に使われていないことになります。今後は、この現状を少しでも改善していくのが大きな課題といえそうです。

他県でチップ化されている!

DATA-2 は、素材生産として伐り出された丸太の用途を、全国の数値と比較したものです。
やまなし生まれの丸太は、約 6 割が建築用ではなくチップとして利用されています。おそらく、製紙工場の多い他県に運ばれているのでしょう。
丸太の価格は、「製材用>合板用>チップ用」の順。製材用が最も経済効果的です。長い時間をかけて育てた木が、安価なチップとして売られているのは、なんだか先人に申し訳ない気もします。